価値ある作業

何かの解決策を考えるとき、できるだけ、今あることから始めるようにする。たとえば、営業ツールがあるとする。その使い方や見方を変えるだけで変わる。それを書くことが仕事だったことから、それをもとに考え、自発的に行動するようになる。

そのために行う方法は、とても単純だ。マネージャーにこうアドバイスする。「○○という質問をしてください。その質問の意図は、○○です」「それだけですか?」と疑問に思うだろうが、それだけでいい。

実際には、画期的でウルトラCのような、解決策を期待されることが多いだろう。しかし、本に書いてあるような、理想的だが、出来もしない方法はNG。普段の業務を抱えながら、新しいことへの取り組みなどできない。

解決策とは、今いる場所からできること。そこに見出すことこそに、価値がある。ある男の車が故障して動かなくなった。修理工を呼んで、見てもらったところ、修理工は、エンジンルームのネジを1本締めなおした。

エンジンは、見事にかかり、男は、修理工に修理代を問いかけた。修理工は、「2万円です」と応えた。「ネジ1本締めなおしただけで2万円!」男は、憤慨して言った。「ネジを締めた料金は100円です。

残りは、どのネジを締めるかを見つけ出す料金です」実際にやることは、シンプルでも構わない。本当に必要で意味のあることを見極めること。その活動にこそ、本当の価値がある。

テーマのチカラ

新しい年を迎え、新しい目標を立てたとする。目標の実現に向けて楽しく取り組むために、ちょっとした考え方に工夫をしてみる。ソ連に宇宙開発で遅れをとってケネディ大統領は、「10年以内に月にいく」と宣言した。「高性能なロケットを作る」とは言わなかった。

ソニーの名を上げたウォーマンは、「ポケットに入るラジオを作る」と宣言したことから始まった。「小型の高性能ラジオを作る」とは言わなかった。日産を再生させたカルロス・ゴーンは、会社経営を船を作ることになぞらえてこういった。

「良い船を作るとか、高性能な船を作るとかよりも、大海原に繰り出すことをイメージすることの方が大事だ」高性能とか、質の高いとかいう言葉は、一見、具体的に見えるが捉え方に差がでる。人には、販売、開発、保守などそれぞれ立場がある。

もちろん、立場の違いで解釈の違いが出てしまう。その解釈の違いをも吸収してしまうほどの、ビジョンを描いて包み込む。「ポケットに入るラジオ」は、それを可能にしている。この考え方は、会社や組織運営にはもちろん、個人の目標設定においても活用できる。

「ダイエットする」という目標の立て方ではなく、たとえば「スタイリッシュな生き方を実現する」とする。生活スタイル全体を理想的にすることは、ダイエットをすることをも包み込んでしまう。ダイエットに焦点を当てれば、食事と運動にだけフォーカスしてしまう。

スタイリッシュな生活に焦点を当てれば、服装や話し方、家具、趣味にまで影響する。その結果、同じ目標を実現したとしたら、どちらが高い成果を生み出せているだろうか。立てた目標にタイトルやテーマを与えて、より高く、楽しく実現できるようにしよう。

冷たい風

冷たい風に、良いも悪いもない。冷たい風が吹くと寒い。寒いと嫌だと感じる人も多いだろう。しかし、冷たい風自体には、良いも悪いもない。運動したばかりの人にしてみれば、冷たい風は、心地よい風かもしれない。

オーバーヒートしかけた車を運転するなら、冷たい風は、ありがたい風になるだろう。つまり、その事象が良いのか悪いのかは、それを捉える人の捉え方次第。その人が、その事象から感じる感情で、どんな感情を選択するかにかかっている。

そして、そういった「冷たい風」は、後に起こることの「準備」であることもある。結果的に、「それでよかった」ということだ。だから、そのときだけの事象に、ただ、感情的に「反応」することはやめよう。どんな感情を選択するかは、全くの自由。

その前向きな選択が、次の一歩にチカラを与え、新しくすばらしい結果に繋がることもあるだろう。この時勢、暖かい風が吹くときばかりではない。ときに、冷たい風にさらされるときもあるだろう。

そんなときも、「捉え方はいろいろある」と思い、「人間万事、塞翁が馬」と言い聞かせてみよう。「災いが、幸いに転じ、幸いが災いに転じる」それは、つまり考え方次第でどうにでもなるということだから。

反省

一年を振り返ってみて、反省することもある。もっと、こうしておけばよかった。あれを始めておけばよかった。反省は、決してネガティブなことではない。それは、昨年の自分よりも、今の自分が成長しているという証。

もし、昨日を自分を悔やんでいるなら、今日の自分は昨日の自分より成長している。もし、1時間前の言動を後悔しているなら、今の自分は、1時間前の自分より成長している。反省のコツは、自分にダメレッテルの貼らないこと。

改善すべきことに気付いて、次の同じ場面に備えること。もし、次の機会に自分の望むような言動ができれば、その反省は、充分に役立っている。反省することがないほど、完璧な人や完璧な人生など存在しない。

反省ばかりする必要はないけれど、そういった感情が沸き起こってきたなら受け入れる。受け入れ方は、成長した自分を認めること。反省すると同時に、成長した自分を褒める。これは、言葉に出す必要も、誰かに賛同や共感してもらう必要も全くない。

どんなにすばらしい能力を持ってしても、過去の出来事を変えることは出来ない。ただ、過去の出来事の解釈を変えることは、いつでも誰でも自由に行うことができる。新しい解釈を与えられたなら忘れよう。

もう、過去の出来事を気にする必要はない。チャンスは、過去には存在しない。次の機会は、必ず未来にしかないのだから。

制限

制限があることを嘆くことがある。時間的制限、能力的制限、金銭的制限。しかし、一方で、この制限こそが、成長の糧となるといっても過言ではない。現状の枠組みでは超えられない壁がある。それこそが、努力と成果に結びつく道となる。

もしも、何も制限がないとしたならば、今の自分は、何にチャレンジしようと感じるだろうか。チャレンジなどそこにはない。壁のないところにチャレンジが存在しようがない。チャレンジがないところには、成長もない。

腕立て伏せを10回するとき、筋肉が一番成長するときは、何回目か?その答えは、12回目。一番辛いときを超えてからが成長のとき。現状を超えて成長しないからには、あらゆるものはレベルアップしていかない。

今ある制限にはどんなものがあるだろうか。その制限は、自分にどんなチャレンジを与えてくれるだろか。制限があることを嘆くのは終わりにしよう。その制限を上手く活用してステップアップしよう。

選択するコツ

AとBという二つの選択肢があるとする。どちらを選択するべきか迷った場合、よく使う方法としてメリットデメリット分析がある。Aを選択した場合のメリットとデメリット。Bを選択した場合のメリットとデメリット。

双方の状況を比べてみて、どちらを選択するべきかを決める。組織的な枠組みであれば、ここに個人的な判断が入る余地はない。しかし、これがもし個人的な選択だとしたら、もう一歩踏み込んだ解釈をするとよい。

メリットとデメリットを洗い出したとき、明らかにAの方がよかったとする。それは、論理的な思考による答えだ。もし、ここで、なおかつBの方がよいと感じる。もしくは、Aの方ではない気がする。そう感じたとしたらなら、間違いなくBを選択する。

つまり、見た目の条件が良く見えても、直感がNOというならば、NOなのだ。Aの条件が良いにもかかわらず、それでも、Bがよいと感じるには理由があるはず。しかし、直感には明確な理由はない。ただ、深く考えすぎず、良いと感じる方を選ぶ。

個人的な判断を要する場合には、直感を最優先する方が結果的にはよい。直感を確認するために、条件を出してみる。一歩踏み込んだチャレンジだ。

バランス

お金や地位や名誉があっても、孤独であれば、成功とはいわない。豪邸やクルーザーがあったとしても、病院のベッドの上で過ごすなら成功とはいわない。一時の大金を手にしたとしても、翌年、何もかも失うようならば成功とはいわない。成功とは、バランス。

なぜならば、人生はひとつの側面だけで、成り立っているわけではないからだ。経済的な側面もあれば、健康の側面もある。家族や趣味、学習の側面もある。そして、社会や地域活動の側面。そして、もちろん仕事の側面もある。

こうした側面において、バランスよくあること。それが、人生における成功のポイントだ。何かについて、今極端であるならば、足りていない側面とのバランスを考える。

「これがうまくいけば、この側面もうまくいく」もし、そう感じているならば、それは大きな勘違いをしているかもしれない。何かを犠牲にしながら行うことよりも、今、そのことについてできることをやること。どんな小さなことでも構わない。

今、その側面に対して出来ることを計画することだ。もし、目標を立てる機会があるならば、これらの側面すべてにおいて目標を立てる。ある側面を他の側面の条件にしないように、同じときに同じように達成できるように。

このバランスこそが、人生を豊かにする。幸せな人というのは、ほどよくこのバランスを、保つことができる人のことをいうのだろう。

影のエネルギー

「好き」と「嫌い」の違いは何か。全く異なることのように感じるが、実は、同じ性質のものだ。「嫌い」ということは、つまり「気になる」ということ。エネルギーの強さは、「好き」と同じ。方向が異なるだけだから、一転する場合もある。

「好き」と、全くことなるのは、「無関心」。関心がなければ、気になるところもない。つまり、「嫌い」という感情すら生まれない。もし、「嫌い」とか「苦手」という感覚があるなら、何がそうさせているのかを見つめてみるといい。

その要素の、ほとんどは、実は自分が持っている。自分が持っていて気付いているから嫌にみえる。自分に持っていない部分ならば、もともの、気にもなりはしないはずだ。同じように、「期待」と「心配」も同じ。

そのものの持つエネルギーは同じだから、「心配」の実現力は、「期待」と同じく強い。ただ、人というのは、「心配」することの方が、実は、得意だったりする。じっとしてれば、期待よりも心配事が思い浮かぶ。

「好き」と「嫌い」のエネルギーと同じように、「期待」と「心配」も、同じエネルギーだと理解しておく。つまり、「心配」するというネネルギーは、「心配事」を実現するエネルギーを持っている。どうせだったら、「期待」のエネルギーを上手く使いたい。

陰と陽、明と暗。光があれば、同じだけの影ができる。そのバランスは、常にそこに存在する。どちらのエネルギーを使うかの選択は自由。陰を見つめて、陽に転じる。影の部分から目を背けてばかりではなく、光のエネルギーに切り替えてみよう。

目標のコツ

目標の立て方には、コツがある。それは、欲しい結果を手に入れるだけでは、実際には、満たされないという過去の賢人たちの教え。いくら大金を手にしたとしても、家族関係が崩壊しては、意味がない。

たとえ、望んだ地位を得たとして、健康を害してしまっていては満たされない。ある高い目標を打ちたて、それ以外のものを犠牲にしたツケは、必ず払わされる。犠牲にしていいもの、出来るもの。

たとえば、暴食や喫煙の欲求やテレビをみる時間。逆に、犠牲に出来ないもの多いはずで、その判断を誤ると、結果的には後悔することになる。そうならないためには、目標を立てる分野を広げてみることだ。人生の豊かさを構成する分野は8つ。

1.仕事2.家族3.経済・資産4.趣味5.学習6.健康7.地域・社会8.人格この順番は、優先順位を示している訳ではない。すべての分野において、同レベルで取り組むこと。

これらのすべての分野において、生涯の目標を立て、そして1年の目標を立てる。その目標を達成するために、今週できること、今日できることを考える。1週間を振り返ってみて、すべての分野で、目標に近づくための活動をしていればOK。

出来ていないことがあれば、次週の最優先事項として、予定を書き込んでみる。この目標設定と確認のサイクルは、確実に人生を充実したものにしてくれる。自分の人生に対しては、欲張ってもいい。

大切なものを失ったり、犠牲にすることなく、すべての目標は実現できると信じている。逆に、どれかの手を抜けば、そのホコロビは、全体に広がってツメを甘くさせる。ここにおいても、やはり「一事が万事」。思う存分に欲張った目標を立ててみよう。

土嚢(どのう)の山

人は、自分にとってプラスかマイナスかに関係なく、固定観念がなければ生きて行けない。固定観念がなければ選択や決断することはできないが、自分の目標を阻害してしまうマイナスの固定観念もある。そういった固定観念は、できるだけなくしていきたい。

そのマイナス要因をもたらす固定観念の中で、最も無くす必要がある固定観念がある。それは、「自分は、すでに知っている」。この自分勝手な固定観念は、せっかくの有益な情報や気付きから遠ざけてしまう。

たとえ、長い期間で特別な知識を持っていたとしても、その知識だけで、「すでに知っている」というには儚い。自分自身が、大きな流れの中にあって、その恩恵を受けながら生きていると知る。

今、知っていることは、その流れの中にある、ほんの一瞬で、わずかなことでしかない。その小さな原石を手にしていると理解して、その原石を自分なりに磨いて役立てようとしてみる。

その知識は、選ばれて与えられたものだから、独り占めしたり、他人を打ち負かすためのものではない。同じように、自分の知らないことを、選ばれて与えられた人から学ぶこともできる。突き詰めていけば、すべての物事は、天地自然の理の中で動いている。

その天地自然の理を感じ取れれば、他人に出し抜かれることなど心配することはなくなる。他人に惜しみなく知識を与え教えることで、自分自身の学びの速度は、格段に向上する。知識を与えることで出来る空スペースに、新しい知識や情報は、どんどん流れ込んでくる。

しかし、「すでに知っている」という観念があれば、空スペースへの流れを止めてしまうことになる。「本当に物事をよく判っている人とは、自分は、ほとんど判っていないとよく知っている人だ」天地自然の理に従って流れ込む知識を、自ら止めてしまうようなことをしてはいけない。

「自分は、すでに知っている」そう感じるタイミングがあったなら、美しい渓流を堰き止める土嚢の山をイメージしよう。それは、ずいぶんと不快なことだ。すぐに土嚢を取り除いて美しい流れを取り戻そう。