困ったことが、起きる。普通に、当たり前のように起こる。しかし、「困った」という考え方が、決して良い結果を生まないことには理由がある。
幕末の奇才、高杉晋作は、生涯、何があっても「困った」と口にしなかったという。「俺は父から教えられた。男子たるもの決して困ったという言葉を吐くなと」窮地に追い込まれた場合でも、「困った」といわない。
「困った」といったとたん、人間の知恵も分別も出ない。そうなれば、窮地が死地になる。活路が見出せなくなるのだという。知恵を導き出すのは潜在意識。潜在意識は、与えられた質問に答えようとする。
しかし、「困った」という問いに答えなどない。潜在意識は、それでも答えを探そうとする。思考はループし、精神は消耗していく。そして、いずれストップしてしまうことになる。
決して、「困った」と口に出して言わないこと。「困った」と言葉に出した瞬間に知恵は出なくなる。困った状況に陥ったら、こう問いかける。
「今の自分に何が出来るか」こう問いかけることによって、同じ状況であったとしても、打開するための答えや知恵を導き出すことが出来る。高杉晋作は、倒幕を見ることなく、28歳でこの世を去った。
そして、次のような辞世の句を残した。「おもしろきこともなき世をおもしろく」「困った」ことを、「困ったこと」にしなかった、高杉晋作らしい辞世の句だと思う。
