星の王子様で知られる、作家サン・テグジュペリ。彼の著作の中に、「人間の土地」という作品がある。航空便のパイロットだった、テグジュペリの実体験を元に書かれたものだ。
現代のように飛行機の性能はもちろん、航路の開拓も進んでいないような時代の話。彼は、生死と背中合わせの状況を目の当たりにする。何度も危険を冒しながら、それでも航路を開拓する人。
そして、アンデス山脈から奇跡の生還を果たした僚友。そして、彼は、ある夜間飛行で失敗し砂漠に不時着する。測量士と2人だけの、3日間の砂漠での遭難。
彼は、この本の中で、”本然”という言葉を使い、その人、ひとりひとりにある使命や生き方を語っている。その一見、不合理に見えるような選択であっても、それが、彼故の選択であれば、それは正しい。
その”本然”は、誰が与えてくれるものでもない。その人が生きる、その土地が与えてくれるもの。その”本然”に従い生きるということは、何者の評価も寄せ付けず生きるということだと。
その経験が、本当に必要なことを教えてくれる。「人間の土地」には、次のような言葉がある。
「また、経験はぼくらに教えてくれる、愛するということは、お互いの顔をみあうことではなくて、一緒に同じ方向を見ることだと。」
