時として、人は得体の知れない怪物を作り出す。誰に教えられた訳でも、明確な根拠もなく。その怪物とは、「訪れない未来」。ビジネスの展開などを考えるとき、多くの人は「早く早く」と焦る。
その様子に対して、「なぜ、急ぐのか?」と訊く。その問いかけに対して、彼らはこう応える。「こうしなければ、こうなる」「こうならないために、こうしなければならない」「本当に?」と訊く。
その答えは、想像や思い込みからくることばかり。その理由のほとんどに明確な根拠はない。そして、実際、現実に起こることは、「こうしたからこうなった」ということの方が少ない。
その得たいの知れない怪物に、急かされる意義は、本当にあるだろうか。全くない。ゼロだ。それよりも、本当にやるべきことを考えること。本当に必要なことに目を向けることが賢明だ。
そして、必要なことをするためには時間が必要だ。その必要な時間を省略してはいけない。たとえば、競合が現れるから早くと思う。しかし、競合とは何かが曖昧なことが多い。競合は、マーケットによって違う。
マクドナルドの競合は、ロッテリアではなく、コンビニのサンドウィッチかもしれない。病院の近くの見舞い向けの花屋の競合は、近所にある洋菓子店か書店かもしれない。
考えるべきことを考え、やるべき事を順番にやる。それが、最も近道でコストの掛からない方法だ。何かを思いついたら、一旦離れよう。そして、「考える」という取り組みをじっくり行う。
むやみやたらに怪物を作る必要などない。実際に怪物など存在しないのだから。
