管理をやめる

業務効率化における「管理」の話。「管理」をやめるという取り組みの中に、「競争をやめる」ということがある。営業成績が伸びないときなどに、ありがちな対応が、ノルマと競争。

競争の仕組みを入れることで、成果の向上が図れるというのは幻想だ。たしかに、1+1=1.2であったことが、1+1=1.5にはなるかもしれない。しかし、1+1=3になることはまずない。

本来、組織やチームで動く意味や価値というのは、1+1を、2以上にすることができるところにある。競争というのは、1以上のチカラを持った人の、本来のチカラを引き出すことには使える。

しかし、そうでない人にとっては、1以上のチカラをだすきっかけにはなりにくい。なぜなら、組織やチーム内の競争というのは、となりの人や同僚を「敵」と認識する要因になりえるから。

周囲が敵だらけと言う状況では、知識や方法の共有化やシナジー効果は望めない。本来、会社にとっていい情報や方法を、会社全体のために共有しようという意識は生まれない。

つまり、0.7の人を1以上にするための方法は、出来る人の中に隠されたままになってしまう。そして、人それぞれに得手不得手があることを前提にした、役割の分担ということが出来なくなってしまう。

何でもこなせる優秀な人材など、そう多くはいない。それを嘆くのは、管理者としての能力不足を露呈するようなもの。チームがチームである理由は、それぞれが補い合うことに、本来の意義がある。

競争することをやめ、協力しあえる環境を作る。それが、長期的な視点での「価値ある組織」を作る。「競争」は、カンフル剤。副作用としては、組織内の軋轢。軋轢の生じた組織の建て直しには、その倍以上の時間と労力を必要とする。

それを理解した上で使うべき方法だ。欲しいと思えば、手が自然と伸びるように、ひとつの目標に、組織全体が自然と向かっていける。組織が身体全体のようであるように、そういったレベルでの情報と意識共有を目指す。「管理をやめる」とは、そういうことだ。

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