施策の本質

この厳しい経済状況の中、「営業力強化の大号令」が出されることも多い。営業力強化とは何なのか。何を一体強化すれば業績は改善するのか。それが見えてこない号令も少なくない。

そして、ノルマの設定と管理の強化という営業成績向上のためのナタが振り下ろされる。果たしてこの常套手段は有効なのだろうか。確かに、短期的な対策として、カンフル剤的な役目としては有効かもしれない。

しかし、それは体質そのものを改善するものにはならない。アメリカで、ある実験が行われた。A、Bの二つのグループに面白いクイズを解かせる。Aグループには、解けた分だけ報酬を与えた。

Bグループには、特に報酬を与えなかった。すると休憩時間の行動に違いが現れた。Aグループのメンバーは、全く別のことをして、まさに、「休憩」することに努めた。

一方、Bグループのメンバーは、休憩時間を惜しんでクイズを解き始めた。この明らかな生産性の違いは、報酬が自ら一定の制限を設けることから起こる。人間は機会でも、コンピューターでもない。

その行動の基本には、「感情」があることを忘れて行けない。それを理解しない「対策」や「強化」は、逆効果にすらなる可能性を秘めているのだ。安易な対策は、得てしてこういうものだ。

本気で、結果を変えたいのならば、そこで活動する人という生き物の本質を見つめよう。時間はかかるかもしれないが、それは、長期的、安定的な改革と成果を与えてくれる。

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