子供の頃、水泳教室の先生に、水泳がうまくなる基本を教えてもらった。泳げる子と泳げない子の大きな違い。それは、「水中で息を吐いているかどうか」。泳げない子の多くは、水の中で息を止めている。
だから、息継ぎをしても新しい酸素が取り込めない。当然、肺の中の酸素を使い切れば、そこから先へは泳ぎ続けることができない。逆に、うまく泳げる子は、水中で息を吐く。
だから、息継ぎで新しい酸素を取り込める。「水中ではとにかく息を全て吐け。全部吐ききってしまうくらい思いっきり吐け」先生は、こう教えてくれた。「吐くだけ吐いたら、イヤでも空気は入ってくる」
この考え方と取り組みは、確かに、より速く長く泳ぐことを可能にする。簡単な方法だが、効果的な方法。やるのとやらないのとでは天地の差が出る。手の回し方や足をどうこうする以前の問題。
いわゆるテクニック云々以前の基本的なこと。新しいものを取り入れるために、「その場所を空けておく」という基本。これは、どんなことにも応用できるし、小手先のテクニックより大切なことだ。
まず、吐き出すものがなければ、出し惜しみをしているものはないか確認する。古いものは捨てる。知識は、どんどん吐き出す。出し惜しみなど、無縁だ。そうすることで、自然と否が応でも、新しいことは、次々と入ってくる。
これは、水が上から下へ流れることほど、当たり前なことであり、自然の法則だ。息を止めたまま、走っていないか。その苦しさを小手先でカバーしようとしていないか。
自然の流れに身を任せてみるほど、信頼でき、安心できることは無い。まずは、思い切って吐き出してみよう。
