練習することの重要な意味のひとつは、本番でベストな状態を引き出すことだろう。練習や努力の仕方の重要性が説かれる一方、本番における取り組み方も重要だ。
最も大切なことのひとつは、「本番の中で、修正を試みないこと」だ。本番は、練習ではない。そもそも、修正する場ではないのだ。たとえば、ゴルフコースに出たときの過ちは、スライスする弾道をラウンド中に修正しようとすることだ。
わずかな限られた機会の中で、修正を試み成功を得ようとすることは無謀なこと。もし、その日スライスする特徴があるならば、それを受け入れゲームを組み立てる方が得策だ。
これは、あらゆる分野に適用できる考え方。練習の目的は、状態をベストな状態にすることであり、また、不完全な部分を認識し、調整すること。常に、100%にすることがベストではない。
不完全さを組み入れ、組み立てることも必要だ。「本番で、修正を必要としない状態に準備する」準備が、物事の成否の80%以上を決める。準備不足は、不測の事態を引き起こすもの。
もともと人間は、不完全さを持ち合わせている。だから、どんなトップレベルの人でも練習は怠らない。本番をベストに行うためには、準備や練習にこそ、集中し時間を費やす必要がある。
「人事を尽くして天命を待つ」準備の重要性が理解できれば、この言葉の真意が、他力本願ではないこともわかる。「人事を尽くす」とは、「やるべきことをすべてやりとげる」ということ。
あとの結果は、天命を待つに値するのだ。結果がどうであれ、それが天命であれば、それがベストな状態であると受け入れられるはずだ。
