新しい年を迎え、新しい目標を立てたとする。目標の実現に向けて楽しく取り組むために、ちょっとした考え方に工夫をしてみる。ソ連に宇宙開発で遅れをとってケネディ大統領は、「10年以内に月にいく」と宣言した。「高性能なロケットを作る」とは言わなかった。
ソニーの名を上げたウォーマンは、「ポケットに入るラジオを作る」と宣言したことから始まった。「小型の高性能ラジオを作る」とは言わなかった。日産を再生させたカルロス・ゴーンは、会社経営を船を作ることになぞらえてこういった。
「良い船を作るとか、高性能な船を作るとかよりも、大海原に繰り出すことをイメージすることの方が大事だ」高性能とか、質の高いとかいう言葉は、一見、具体的に見えるが捉え方に差がでる。人には、販売、開発、保守などそれぞれ立場がある。
もちろん、立場の違いで解釈の違いが出てしまう。その解釈の違いをも吸収してしまうほどの、ビジョンを描いて包み込む。「ポケットに入るラジオ」は、それを可能にしている。この考え方は、会社や組織運営にはもちろん、個人の目標設定においても活用できる。
「ダイエットする」という目標の立て方ではなく、たとえば「スタイリッシュな生き方を実現する」とする。生活スタイル全体を理想的にすることは、ダイエットをすることをも包み込んでしまう。ダイエットに焦点を当てれば、食事と運動にだけフォーカスしてしまう。
スタイリッシュな生活に焦点を当てれば、服装や話し方、家具、趣味にまで影響する。その結果、同じ目標を実現したとしたら、どちらが高い成果を生み出せているだろうか。立てた目標にタイトルやテーマを与えて、より高く、楽しく実現できるようにしよう。